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住まいの勉強会

自然環境と住宅について(屋久島研修レポート)


日時:平成13年11月6日(火)〜11月9日(木)

視察場所:屋久島(鹿児島県鹿児島市熊毛郡)
       屋久杉自然館
       縄文杉登山
       屋久島環境共生住宅
       屋久島環境文化村センター
写真は上屋久町宮之浦にある屋久島環境共生住宅

 現在、地球温暖化や環境破壊など社会問題となっているが、ここ数十年、人間が快適に住む為に自然や環境といったものに無配慮に、その快適さを追求してきた結果、前述のような様々な問題が表面化してきた。住宅産業において、そのような社会問題とは密接な関係を有している産業である。

そのような自覚のもと、今後とも住宅を提供していくにあたり、自然の尊さや環境との共生といった点を再度、認識する為に、世界遺産にも認定された屋久島の自然及び屋久島の環境共生住宅を学ぶ為、全社研修にいって参りました。以下は、その研修時のものを紹介させて頂きます。


1.屋久島の環境について(屋久杉自然館 於)

 平成元年に開館された、コンクリートの打ち放しと屋久杉の木材で構成されたユニークな外観の建物の屋久杉自然館。ここで、屋久島の環境や自然、植物の植生、歴史等を模型や展示物、ビデオを資料に職員の方から説明を受けました。
実際、屋久島を訪れる前までは、世界遺産の島、九州の南にある島、というイメージしかなく、このような非常に特徴的な島とはつゆとして思わないかった。ここは、地形的にも植生的にも特徴的な島です。島という限られたエリアの中で大自然がメインで、人間が片隅に暮らしているというイメージをなのです。これが本当に環境と共生しているということなのか感じられます。
以下は、職員の方から説明を受けたことを簡単にまとめて掲載します。

屋久島の特徴

●地形:
 屋久島は周囲約130km、面積約500km2 と淡路島ほどの島である。そこに、九州で一番高い宮之浦岳(約1930m)が鎮座しているため、海面から山が突如として現れているような形状で、平野がほとんど無く、島の外周部(海から数百メートル程度)のわずかな平地に人が住んでいる。大昔、火山が隆起して出来た島である。

●気候:
 直径30kmに満たない島に、標高0m〜2000mの場所があり、亜熱帯の気温から北海道なみの温度が一つの島に同時期に存在するという非常に特異的な気候である。また、屋久島は台風も多く、日本一降水量が多いとされている地域で年間の降水量が6,295mmもあるそうです。これは、バスガイドさんに聞いた話だが、屋久島で3時間に降った降水量が東京の年間の降水量とほぼ同じであった時もあったそうだ。

●植生:
 低い所と高い所の標高差約2000mあるこの島は、植物の分布が非常に密集している。低地ではガジュマル等の亜熱帯の植物(照葉樹林等)が生息しており、中間では針葉樹や広葉樹などの温帯の植物、山頂付近では寒帯や亜寒帯などでも見られる植物もあり、海岸から山頂に、気温の変化に従って南から北の植物へと植生がかわっていく、垂直方向への植生の変化が極端な植物分布である。

●屋久杉:
 屋久島は杉で有名であるが、杉は日本固有のもので日本各地に有名な杉がある。通常は寿命500年といわれているなかで、屋久島の杉は1000年を超えているものも多い。その理由は、屋久島が土壌が栄養分の少ない地質で、また、台風などの影響で背が高くならず、樹木の成長が非常に遅く組織が密で油分が多いことにより腐りにくいからとのこと。
 屋久島では樹齢100年までものを地杉、1000年までのものを小杉、1000年を超えて始めて屋久杉といわれる。屋久杉自然館に樹齢1670年の屋久杉の切り口があり、その年輪の密な様子には驚いた。江戸時代は屋久島は薩摩藩の領地として、年貢の米のかわりにこの杉の平木(屋根材)を収めたそうである。

●世界遺産:
 屋久島全体が世界遺産に指定されていると思っていたが、屋久島の西部から中央部(山頂部)にかけての約20%のエリアが指定されている。遺産登録されている理由は屋久杉の原生林だけでなく、いま、世界各地で減少している照葉樹林の原生林が残っているという理由もあるとのこと。


2.縄文杉見学ツアーについて

 片道4時間以上の道のりを、ひたすら歩いて歩いて、歩いて縄文杉を見ることが出来ました。道のりの半分はトロッコの線路敷きを歩いていくのです。ここを屋久杉伐採の木材搬出に使っていたとの事ですが、トロッコがない江戸時代などは非常に大変な思いをして搬出していたのだろうと、ただ、歩いているだけで疲れた我々には頭が下がる思いがする。途中の小杉村跡など良くこのような山中に人が住んでいたものだと関心するばかりであった。それだけ林業も当時は盛んであったと察しがついた。


延々と続くトロッコ道

今でも、トロッコがたまに走るようです。

 残りの半分は、縄文杉までの道は鬱蒼と生い茂る屋久杉の自然林の中を歩いて行くものであったが、屋久杉の神秘さをまざまざと見せてくれるものであった。三代杉、夫婦杉、翁杉杉、ウィルソン株、その他さまざまな形をした屋久杉、倒木の上から目を出している新しい子供の杉、そして縄文杉、日頃、運動不足の我々には非常にきついものであったが、それ以上に自然の素晴らしさ、たくましさ、偉大さ、雄大さを感じさせてくれるものであった。非常に貴重な体験であったと思う。人間の快適さの追及の為、この様な大自然が世界中のあちこちから徐々に姿を消していくのは、やはり人間のエゴ以外なにものでもない。我々、普段この様な自然がないところで環境共生型住宅を販売、あるいは企画しているが、環境や自然に負荷をかけないといってもピンとこないものもあるが、このような体験をを通すとますます環境と共生して生きていくことの重要性を痛感した思いであった。

 残念ながら縄文杉は大きすぎて写真に入りきれませんでした。かわりに翁杉。これもかなり大きいです。


 トロッコ道が終わると登山道です。ここがその入り口。全工程の1/4が終わったところ。
 切り株の上から新しい杉の芽が育ち、やがて大きくなる。2代杉。3代杉と言われるようになる。
 本当に森の中。登山道の風景。縄文杉の道のりは遠かった。


 縄文杉の近くになると木道が整備されている。観光客が根を踏み荒らさない為とのこと。


3.環境共生住宅見学


 屋久町立環境共生住宅を見学。ここは屋久町町立県営住宅と鹿児島県県営住宅が一つのプロジェクトとして併存する住宅団地である。住宅団地と言っても戸数50戸の長屋型住宅である。現在町営住宅26戸は既に完成し、入居しているが県営住宅は現在建設中であった。この環境共生住宅は屋久島の特徴的な気候や風土を上手く活かし、周辺の自然環境と調和し、健康で快適に生活できるように工夫されている住宅である。
太陽・水・風・資源・生き物・地域社会・自然・安心という項目で、それぞれにこの団地内に具現化のポイントを講じたものである。
現地見学しての第1印象は、周囲の自然とも違和感もなく、またすっきりとした街並みの中にどこか暖かみがかんじられるものであった。それは、多分、緑も多く電柱も無く、背割りコモンなどの共用部分が多く設けられている為と思われた。
 団地内にはビオト−プ・雨水利用の循環式の池や小川(電力は太陽光や風力)やセンターモールや中央広場など地域の人々と交流もできるスペースがあり、地域社会にも共生している団地である。
 住宅を見ると、2戸〜3戸で1棟の長屋になっていて、その住戸と住戸の間は屋根はあるが空間になっており風が抜けるような構造になっている。また、各戸ではないが居室に排熱を目的にした鳩小屋のような窓が屋根の上に設けられているのが特徴的であった。
 住宅の中も入居されている中島様のご厚意により見学、及び、住み心地などのお話もきけたのは貴重であった。住宅に入ると広い玄関が飛び込んできた。ここは自転車もゆうに2台は入るような広さで、ご近所の方と話をする際にはいつもこの上がり框のところに腰掛け話をするそうである。中に入ると、杉の柱、梁、フローリングが気持の良い空間を演出している。南と北に大きな窓があるが、北の窓からは風が入ってくるが、南の窓には背割りコモンをはさんで住宅が5mくらい離れて建っているため風が抜けないそうである。しかし、玄関が南面にあるため、玄関を開け放しにしておくと家中風が通りぬけ、非常に心地よいとのことである。この夏、陽射しを遮る葦簾は窓の外につけたが、クーラーはつかう必要も無かったとのことであり、実際、このお宅にはクーラーはなかった。また、中島さんのお話によると、屋根の上に見える鳩小屋のような窓があるお宅は、非常に排熱効果、通風が良いらしく非常に有効なものとのことであった。
 実際、お話を聞いている際、風が通りぬけ、明るく開放的で、人工的でない自然の気持の良さというものを肌で直に感じられた。環境共生住宅をつくるということは自然にも優しいが、住んでいる人にも非常に気持の良いものであるということを認識した。今後、このような環境共生住宅をつくってもお客様にこの気持良さを伝えていかない限り、普及していかないのではないかと思う。他の人にもこの気持良さを是非伝えていきたい。

 環境共生住宅
 実際に中も見学させて頂きました 。天然素材を使用して気持の良い空間でした。
 2戸或いは3戸で1棟の配置。風通しを考え、屋根の上の窓や住宅と住宅の間には風が通りぬける空間を設けてあります。


 このページの一番上の写真が外観写真です。
 背割りコモン
 住宅の棟と棟の間は庭の延長のような路地になっている。



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