50代からの住宅ニーズと新メディアの特性について―後半
(株)リクルート 住宅ディビジョンカンパニー
住宅情報「楽家」編集長 西川 裕子 氏
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PROFILE
住宅情報『楽家(らっか)』編集長。
そもそもは『住宅情報』の編集部に在籍し、ここ数年間リニューアルを手掛けたり、『都心に住む』という新しいコンセプトの本をだしたり、そのようなメディアの開発に携わってくる。。
2002年の4月からはアクティブエイジとかシニアの年代に対して何かメディアを出せないのかという企画が持ち上がり、西川さんのみを専任担当とした、3人の小さな組織でプロジェクトがスタートし、『楽家(らっか)』の発刊にいたる。 |
今度はこの辺をベースに、私どもの『楽家』という本にはどんな読者の像があるのかをまとめたもので、ここは簡単に説明させていただきます。
私どもの本は、こういう志向の方をターゲットとして、この人たちのライフスタイルを提案していこうということを最初言っていました。ではどんなライフスタイルなのかということを、ある程度共通の言語というか共有した形にしておかないと、その人と会った実感値がない人はイメージがわかない。
そこで、タイプに分けたらこんなタイプがあって、多分こんな人がこの本を読む人じゃないでしょうかと。その人というのはこのぐらいのシェアがあるので、例えば記事のボリュームも、この人たち向けにはこのぐらいのボリュームが必要ではないかという話をするベースにするために、いったん、こういうタイプの人が読者像だというふうに置いてみました。それがここからの資料です。
まずは、女性がメインターゲットということです。これは今までもお話ししましたように、女性のほうが、これからの住まいに対してのニーズに対しての感度・意識が高いということを申し上げましたが、それプラス、非常に行動的だということをここにまとめさせていただいています。
これは550サンプルとったネット調査(pdfファイル15KB)です。60項目ぐらいざっと出しまして、どういう志向があるのかということをマルチアンサーで答えてもらいました。
「趣味を通しての友達・(知人との)付き合いが多い」「多忙だと感じている」「平日も何かしら外出している」「デパ地下をよく利用している」「学生時代の友達とのつき合いが多い」……。ずっとあります。配偶者とも「旅行に出かける、ショッピングに出かける」。「娘とよくショッピングを楽しむ」。夫とも仲がいいんですね。
下のほうに行ったら、「近所の人との付き合いが多い」。これは39%ですが、先ほど申し上げましたように、趣味を通じてとか、学生時代の友人とのつき合い、こちらのほうがまさっています。ですから、ご近所コミュニティーというのが根づいている人もいらっしゃいますが、一方でそうでもない人もいらっしゃる。これはほんとに人によるのですが、地元を離れたくないのか、そうじゃないのかというのも、こういうところで違いが出てきます。文化系の感度が高いというのもここに出てきていまして、とにかくアクティブだということが一目でわかるという状態です。
では、こういう人たちはどういうタイプに分けられるのか。この図(『「楽家」の読者をライフスタイル別に5分類してみました』(pdfファイル54KB))私どもで勝手に置いてみたのですが、横軸は都心志向か郊外志向か、縦軸はアウトプットかインプットかという軸で置いてみました。
多分都心に住みたい人は、左側の@、Aですが、都心に住んでも、自分で手に職を持っていて、あるいは趣味を仕事の延長線上にしたい人、アウトプットというところ、社会貢献のようなことをしたいケースと、そうではなくて専業主婦のままで、絵とか歌舞伎とか音楽とか、この辺をもっと自分の趣味として極めたいという人たちに分かれるのではないかと思います。
B、Cというのはどちらも楽しみたいというマルチハビテーション志向です。Bは、生活の場は都心に置いて、遊びの場をリゾートに置く、田舎に置くタイプと、逆に郊外とか田舎に住みながら、都会に1軒セカンドハウスが欲しいというタイプの人の二つに分かれるのではないか。Dは田舎定住志向という形に分かれるということで、こういう5種類の方がいらっしゃるのではないかと考えました。
次は、さっきの複合した図ではわかりにくいので、@〜Dのお写真を借用してイメージを書いたのがこちらの図(『各タイプがどんな人かプロフィールをイメージしてみました』(pdfファイル26KB))です。それぞれ@〜Dの人たちの具体的なイメージをつくってみたものです。
これは私たちが最初にブレストをいろいろして、会った人たちの3人ぐらいを組み合わせてくっつけて、1人の人をつくったような感じの図です。きっかけとか、あるいは購入の際に不安に思ったこと、新しい住まいになって変わったライフスタイルとか。これは初期のころにやったので、また変わっていますけれども、こういうことをいったん想定して置いてみたら、こういうふうな悩みを持っているから、きっとこういう人たちはこういう企画を欲しがるのではないかというようなことが見えてきました。
すべて商品企画をつくられるときは、こんな人ということで、結果としては、それに近い人も買いますが、どこどこにお住まいの何歳のAさんという方は、ご主人と子供さんはこんな感じだから、こんなことが好きだと、だからこんな間取りが欲しいのではないかとか、そういうことにつながると思います。
どういうレベルでやるかは別として、私たちもこういうターゲット図をつくったことによって、読者はこんな人だということが見えてきましたので、その後の本づくりは割としやすかったのですが、50代の『楽家』という本の読者としては、こういう5タイプの方が恐らくいらっしゃるということでいったん置き、この人たちの志向に基づいて記事の構成をつくっている状況です。
それでは本編に戻りまして、さらっていきたいと思います。先ほどかいた絵は、私たちが会った人をイメージして勝手に想像したものです。本編の21ページ目(『50代以上女性の4割が住宅購入・リフォーム検討予備軍』(pdfファイル12KB))からは、それを裏づけるバックデータをとってみようということで、後追いで、さっきのネット調査をしたものです。
実際に50代以上の方に住宅購入やリフォームの検討希望があるかを聞きましたところ、約4割の方は購入とかリフォームを「したいと思っています」と答えています。ちなみに550サンプルの方は、すべてインターネットで答えてくださった50代以上の方なので、かなり先進層だと見ていただいたほうがいいと思います。皆さんが皆さんではないのですが、多分そういうことを一生懸命やる方というのは感度が高いですから、結構先進層だと思っています。
では検討の種別が何かというと、1位が新築マンション、2位がリフォーム、3位が新築戸建てという順位です。これは先進層だからということではないのですが、ネットをされるユーザーは都心志向だったり機能的なものを求めるということで、マンション志向が高いのではないかと思います。
また、こんな暮らしをしたいというものをマルチアンサーでつけてくださいとしましたところ、「健康に暮らしたい」「防犯面で安全に」をつけた方は87〜88%と、8割を超えた人がつけるというのは「あって当たり前」だというぐらいの志向性だというふうに見ています。
次に6割を超える方がつけているのは、今まさに注目をされている志向性です。「シンプルに暮らしたい」「子供の世話にならずに暮らしたい」「自分の時間を大切にして、家事はなるべく省力化」とか、この辺はグループインタビューしていても、ユーザーの口からポンポン言葉が出てくるものです。
その次に4割を超えて6割ぐらいまでのゾーンは、これから注目されてきそうなコンセプトだと思っております。「いつも文化・教養に触れたい」。「環境」というのもこの辺に入ってきます。「趣味の合う人と交流を重視したい」というようなことが出てきます。
その次になってくると人によるかなと思います。マニア要素と書いてありますが、人によるというテーマです。
次のページを(『都心派・田舎派・マルチハビテーション派が存在』(pdfファイル15KB))見ていただきますと、さっきの5人のタイプに分けてみると、どのぐらいのシェアになるのかということをここで分析してみました。この志向性をもとに、さっきの@〜Dのはげみさんとかまなみさん、この辺の人たちは多分こういう志向性があるとして、その人たちに当てはまる人たちを分類してみました。そうすると、都心志向の方々というのは51.9%、これはさっきのライフワークと趣味の人と合わせると、はげみさん、まなみさんはこの50%に当たるということで、一番ボリュームが高い人たちだということがわかりました。
その次に2カ所居住(都心と郊外の両方とも住みたい)という人たちは32.4%ということで、最初の想定でどのぐらい出てくるのかということがわからなかったのですが、3割の方がどちらも住みたいと。おもしろいのは、Cの郊外に住みながら都心のセカンドハウスが欲しいという人が16.8%、そのぐらいいらっしゃる。これは実行する、しないは別で、希望の状況だということですが、志向が非常にばらけているということがよくわかりました。
ちなみに下の「参考」に書いてあります都心志向と田舎志向というのは男女で逆転していまして、男性は田舎志向、女性は都心志向というのが都市公団さんの調査でも非常にきれいに出ています。
最後は住宅のニーズということで、先ほど、健康に住みたいとか防犯面でという50〜60項目が出ていましたが、それを塊にしてみましょうということで、私たちは10項のニーズに分かれるのではないかということで、「健康・安全」というところから、「自然の中でシンプル&ナチュラル」というところまで10種類のニーズに分け、どういうふうな人たちがそれぞれにいらっしゃるのかとか、いろいろな分析をして見ています。
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多くの人が一番望んでいるのが「健康」とか「安全」ですが、「日常を離れたい」「人と違うこと」とか、「自然の中でシンプル&ナチュラル」、この辺のニーズはボリュームは少ないんですが、非常にこだわるという人と、少しこだわるという人の比率は、少しこだわるというのが少なくて、非常にこだわるという人が強いです。これは数が少ないですが、とても思っているということで、ピタッとはまれば、ストライクゾーンにバシッとくるという人たちがいっぱいいらっしゃるのではないかというニーズです。
『楽家』をつくるときには、10種類のニーズのどれに当てはまるのかという想定をしながら、それぞれのページの原稿作成をしましょうということで、うちの営業部隊とか制作部隊は、この辺をマニュアルにしながら原稿作成をしてきております。
マーケティングの話が中心になりましたが、最後は、こういうことをもとにつくった『楽家』はどういうものかということで、目次(pdfファイル450KB)を書いてあります。ものを見ていただいたほうが早いですが、これは320ページの本で、そのうちの3分の1の100ページを編集記事にしています。
今回は初めての本だということで、「50代、これからは自分スタイルで暮らす」という一般の人がたくさん出てくるような50代からのいろいろな選択肢を紹介するということを入れさせていただきました。
これを入れつつ、二つ目の特集は7割を超える人が持ち家層で、売るのか貸すのかを非常に悩んでいるということも出ていましたので、今の家は売るか貸すか、どっちがトクかという記事を入れたり、あとはトピックス的な税制改正で贈与税の控除が増えましたが、子供さんにあげるということと、親からもらう世代でもあるということで、どちらの話も盛り込みながら贈与の話を、ほんのニュースで2ページで、中吊りには大きく入れてしまいましたが、そのようなことをやったり、記事については今まで聞いたニーズをラインナップしております。
広告ページで今回いろいろチャレンジしましたのは、『都心に住む』をごらんになったことがあるかと思いますが、それとは対照的なページ構成にしています。『都心に住む』は、4ページだての最後のページが思い切りスペック重視で、一覧表をざっとつけて検索性みたいな感じのことをやりましたが、これはそれをかなり排除してしまいました。
とにかく読んでもらおうということで、多分この方々は今すぐ家を買おうというのではなくて、ちょっと潜在的な人です。先ほど4割の方が希望があると申し上げましたように、今すぐではないけれども、住宅のリフォームとか住み替えに非常に興味があると答えている方が多いので、そういう人たちがパラパラと見ていただけるように、しかもそこに住んだときにこういう生活ができそうですよということで、できるだけ話ができるようにしてあります。
例えば、近くに雑木林が残っていて、そこで、「いつかは孫に虫の名前を教えたいね」というようなキャッチコピーを入れて、そこは50種類のクワガタ、カワセミがホバリングしているとか、いろいろな話を事実ベースで述べてあげて、そういう場所であれば、いずれ孫が訪ねてきたときに、一緒に思い出づくりができますと。
今、本を出して3週目にいっていますが、おかげさまで部数もそこそこいかせていただいています。やはり潜在需要が高いということで、即の反響というのがなかなか顕在化しにくいというのが現状ですけれども、読者からの反響はいっぱい来ています。感覚としては普通のペースの倍ぐらいじゃないかと思いますが、はがきの戻りがすごく多くて、私はこういうふうに考えますとか、意見をいっぱい入れてくださっています。
まだまだ改良段階ではありますが、ニーズがあるなという感触がすごくあるというのを実感しています。
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