Life style magazine

暮らしスタイルマガジン
「てまひま手帖」

グリーンカーテンのつくり方

ブログ (更新: )
緑のカーテンゴーヤー

グリーンカーテン(緑のカーテン)

窓辺にゴーヤーや朝顔などつる性の植物で日射を遮る緑のカーテンは、断熱ガラスや簾に比べて遮熱性能が高く、窓周りの建物の壁やバルコニーの床などの表面温度を低く抑えられるのがポイント。
朝顔のグリーンカーテン

グリーンカーテンのつくり方

今回D.I.Y.に挑戦するのは、練馬区にお住まいの石河さんご夫妻。

中古マンションを購入して、てまひま不動産でリノベーションした石河さん。ふたりともカフェ巡りが趣味で、自宅にはカウンターキッチンやパントリーを設らえるなど、カフェのような雰囲気が漂うデザインにこだわったそう。そんな南向きで明るい空間を、グリーンカーテンでさらに快適にします。

用意するもの(マンションのベランダの場合)

植えるのは、大きな葉を繁らせるゴーヤー。病害虫に強く、初めてでも簡単に育てることができるので初心者向けです。
グリーンカーテンを準備する時期は4月後半から梅雨入り前までが目安。マンションのベランダにネットを掛けるフックなどの金具が無くても、突っ張り棒を上手に使えば綺麗にネットを張ることができます。

緑のカーテン用意するもの

1.突っ張り棒(ベランダ用物干し)
今回はアイリスオーヤマの「ステンレスベランダ物干し」を使用。あらかじめ設置されている竿受けを利用してもOK。

2.園芸支柱(2本)
ネットに通して固定するために使用。長さはネットの幅に合わせて選ぶ。

3.グリーンカーテン用ネット
網目は10cm角がベスト。サイズは設置する場所に応じて選ぶ。今回は0.8m×3mを使用。

4.結束バンド(12本)
ネットと支柱を固定するために使用。色は透明か黒だと目立たなくて◎。

5.軍手

6.野菜培養土
花用でも可。プランターのサイズに合わせて選ぶ。今回は20ℓを2袋使用。

7.ゴーヤーの苗(2本)
種より苗の方が失敗が少ないので安心。1本では生育不良になることもあるので、2本植える。

8.プランター(家庭菜園用)
ゴーヤーは根を張るので、深底のものを選ぶ。今回は幅75cm、奥行き25cm、高さ30cm、容量38ℓを使用。鉢底ネット付きだと底面石が必要ないので便利。

9.ドライバー
つっぱり棒の組み立てに使用。

10.スコップ

11.はさみ

12.化成肥料
固形と液体タイプどちらでも可。野菜の場合は、ラベルにチッソ(N)5、リン酸(P)5、カリ(K)5の割合と書かれているものを選ぶと生育が良くなる。使用は植えてから1ヶ月後なので、後から揃えてもOK。

グリーンカーテンネットの張り方

突っ張り棒の設置

①カーテンの設置場所を決めたら、突っ張り棒を取り付けます。バルコニーの手すりから少し内側の位置にすると、風でグリーンカーテンが煽られた時、下の階に葉や実が落ちたりするのを防げます。

★ポイント 突っ張り棒の幅はネット用支柱の長さに合わせること。

緑のカーテンネットの貼り方

②ネット用の支柱をネットの上下2ヶ所に通して張っていきます。その際、並縫いするようにジグザグに通すとネットがより安定します。通したら結束バンドで4ヶ所ずつ固定。

★ポイント 締めて余った部分は、目に入って怪我をしないように5mmほど残してカットします。

ネットのかけ方

③②を突っ張り棒の竿受けに通したら、風で飛ばされないように結束バンドでしっかり固定します。ネットの両端も結束バンドで3〜4ヶ所固定。

★ポイント なるべくネットをピンと張ると、成長も良く、葉が繁った時に見た目も美しくなります。

プランターに土を入れ苗を植える

プランターの土

④プランターをネットの内側に設置して培養土を敷きます。ネットの長さが余ったらプランターの下に巻き込み縦方向もネットをピンと張ります。

★ポイント あげた水のためのスペース(ウォータースペース)として、ふちから高さ約2〜3cmを残して。

苗の植え方

⑤スコップで穴を掘り、苗を植え付けます。苗を取り出す時は、指で株元を挟み、ひっくり返すと簡単に取り出せます。

★ポイント 苗を選ぶときは、なるべく双葉が元気なものを選んで。

苗の植え方2

⑥植え付けが完成したら、たっぷり水をあげます。開封したばかりの土は乾いているので、プランターの底から水が流れるくらいまでが目安です。

 

グリーンカーテンの上手な育て方

きちんと育てるためには、日頃の手入れや水やりが大切。ただし、日当たりや風通しなどによっても違ってくるので、育てている植物をよく観察してください。

水やりについて

土の表面がしっかり乾いたら、鉢底から水が出るまでたっぷりと。目安は、最初は4〜5日に1回、葉が大きく繁ったら毎日。真夏の暑い日など夕方に萎れていたら、もう一回あげます。ただし、水抜き穴が少ないなど、水はけが悪いプランターの場合は、水のあげすぎは根腐れになるので気を付けること。最高の肥料は「足音」。植物を育てる時は、ベランダに足を運んでよく観察することが大切です。

ゴーヤーや朝顔の摘芯

つるが80cmほど伸びてきたら、つるの先端部分(親つる)を摘む「摘芯」を行います。「せっかくここまで育ったのに……」と思いがちですが、摘芯をすることで子づる孫づるがよく育ち、脇芽を増やしてネットを広く覆ってくれます。

ゴーヤーの先端

摘心

摘心2

なんと残酷な!と思われるかもしれませんが、これが重要なポイントす。

摘芯することで、葉っぱの脇芽から子ヅルがどんどん伸びていきます。摘芯しないと、子ヅルに栄養がいかず、親ヅルがぐんぐん伸びていき縦に1本のゴーヤーになってしまいます。グリーンカーテンをつくる時は、子ヅル・孫ヅルを横へ横へと伸ばして、カーテンの面をつくっていきます。子ヅル・孫ヅルも摘芯することでさらに脇芽を出すので、分厚いグリーンカーテンになっていきます。

摘蕾・摘花もしてみましょう

蕾がつきはじめてきたら、花を咲かせずに蕾のうちに摘んでしまいます。雄花・雌花両方とも摘んでしまいます。

ゴーヤーの蕾

なんとまた残酷な!と思われるかもしれませんが、毎朝、水やりの時に目を皿のようにして蕾を発見し、摘んでしまいます。

こうすることで、花や実に栄養を持っていかれず、葉っぱやツルに栄養が行き渡り、大きな面をつくってくれるのです。

ゴーヤーの実はお楽しみにとっておいて、今はグリーンカーテンを大きく育てることに集中しましょう!(摘蕾の解禁日は、梅雨明けぐらいを目安にしています)

グリーンカーテンの追肥

子ヅルが伸び、横に2m位まで広がってきましたら肥料をあげます。

いろんな肥料が売られていますので、ホームセンターなどで見比べてみてくださ。

写真はアイリスオーヤマのゴールデン有機化成肥料。300g 108円(Amazon)

肥料

プランター2つでしたら、元肥(苗を植える前に土に混ぜておく肥料)・追肥(育ってきたら追加する肥料)で使って、1シーズン持ちます。

追肥のあげかたは

株元から離れたところに肥料がコロコロ散らばらないよう筋状の溝を掘ります。

肥料2

 

溝にパラパラとひとつまみの肥料を撒きます。

肥料3

 

軽く土をかぶせて水をあげます。

植物の状態を見ながら、月に1〜2回あげてください。更に大きくなって、実をつけるとどんどん栄養が足りなくなります。

また、下の方の葉っぱで痛んできたものや、密集して風通しが悪い状態のものは摘んでしまい、土の上にかぶせます。

肥料4

見た目は悪いですが、こうすると土からの蒸発する水分を抑えることができます。(風で飛びやすのでご注意ください)

ゴーヤーなどの実の収穫について

ゴーヤーにはいくつか種類があり、あばしゴーヤーなどはスーパーで見かける市販品ほど大きくならないので、表面のデコボコがハッキリとし、艶が強く出てきたら収穫時期。鮮度が落ちやすい野菜なので、早めに食べてください。熟れ始めると黄色くなり、やがて自然に落ちてしまうので、階下に落とさないよう早めに収穫しましょう。

グリーンカーテンの後片付け

秋になって枯れ始めたら、翌年に向けて片付けをします。先に根元を切ってしばらく置くと、葉が乾いてネットから外しやすくなります。土を処分する時は、自治体のごみ収集システムをチェックするか、購入した園芸店やホームセンターに持ち込めば回収してくれることもあります。「NPO法人緑のカーテン応援団」では、自分でリサイクルして再利用する方法を紹介しています。

植物の連作について

ゴーヤーは連作(同じ科目の野菜を同じ土で栽培すること)には不向き。翌年も同じ土を使って植えると、連作障害で土の養分のバランスが崩れたり、病害虫の定着する可能性が高くなったりと、生育不良を起こしやすくなることも。ゴーヤを育てた翌年は、朝顔やミニトマト、ほうれん草など、別の科目の植物を栽培すれば土を再利用できます。

グリーンカーテンの種類

ゴーヤー以外にも、野菜や果物ならきゅうりやヘチマ、パッションフルーツ、ぶどう。草花なら、アサガオ、クレマチス、ヤマホロシ、ルコウソウ、フウセンカズラなどでもグリーンカーテンを楽しめます。自分の好みに合わせて選ぶのも楽しみです。

緑のカーテン

小堺の自宅では、バルコニーでメロンとぶどう、ゴーヤーを栽培していたことも。

「マンションのベランダでも、ちょっとした工夫で簡単にグリーンカーテンがつくれるんですね」「夏が来るのが今から楽しみ!」と石河さん夫妻。見た目も涼しいうえに、花を愛でたり、美味しく食べられたりと、良いことづくしの緑のカーテン。暮らしに取り入れて、夏を快適に過ごしませんか?

グリーンカーテンと体感温度

人間の体感温度は、気温だけでなく湿度や風の強さ、日射、高温化した路面など、周辺の物体から放出される熱に大きく影響されます。例えば、暑い日にコンクリートの道から木陰に入ると、空気がひんやり涼しく感じられますよね。それは、木々の葉が陽を遮り、さらに植物の蒸散作用(植物の放出する水分が蒸発して周りの温度を下げること)が体感温度を下げているから。マンションでは外壁にコンクリートなど蓄熱性の高い素材が使われているため、日中に溜め込まれた熱がなかなか放出されず、夜も室温が下がらない原因になっているのだとか。そこで、グリーンカーテンの出番です。

緑のカーテン体感温度のイラスト

グリーンカーテンは、バルコニーや窓の周囲の壁などに日影を作り建物の温度が上がるの防いでくれます。気温より涼しくなることはないですが、蓄熱による体感温度の上昇を抑えてくれます。
体感温度の簡易計算方法(風速や湿度を考慮しません)=(気温+周囲の放射熱の温度)÷2
気温30℃でバルコニーの床の温度が52℃の場合=(30+52)÷2=41℃
気温30℃でバルコニーを緑のカーテンで日陰にして床の温度が32℃の場合=(30+32)÷2=31℃
となり、計算上体感温度で10℃の違いとなります。

br /> 企画:てまひま不動産 株式会社リブラン
⽂:原⼭幸恵(tarakusa)
写真:⼩賀康⼦(提供以外すべて)