4戸で1基のエレベーターの話
エコヴィレッジ鶴瀬 日本のマンションへ、挑戦状(全6回)
第1回 今の「間取りの8割」に、私は反対です。
第2回 「風の道 V.S. 収納スペース
第3回 「着替える建具」の話
第4回 「4戸で1基のEV」の話
第5回 「見えない風」を見てみたい
第6回 「大切なのは、人と人の関係」

あるエコヴィレッジでは、各階の住戸を3〜4戸ごとに区画する「 4戸で1基のEV(4 in 1 unit) 」を採用しています。
これは、それぞれのフロアにおいて、3〜4世帯で1つのエレベーターを使うということです。全219戸という大きなマンションで、各フロア3〜4世帯に1つのエレベーターって贅沢だと思いませんか?でも、「ヨンコイチ 」を採用した最も大きな理由は、エレベーターを贅沢に使っていただくためではなく、やはりエコミックスデザイン のためです。

ヨンコイチエレベーター概念図 3〜4世帯で1つのエレベーターを使うということは、共用廊下も3〜4世帯だけで使うということ。しかも、左右両端の住まいを 両面バルコニー にすることができます。両面バルコニーなら、中庭からの風をよりとり込むことができます。
さらに、「ヨンコイチ 」のメリットには、 プライバシーの確保や安心感にもあります。共用廊下を使うのは、顔見知りの3〜4世帯だけなので、安心して、廊下側の窓を開け放つことができます。外の自然に向かってオープンに暮らすということは、確かな安心も必要です。
「ヨンコイチ 」の良さは、これだけではありません。「向こう三軒両隣」という言葉があります。昔の下町の人情味あふれる関係を表した言葉です。そんなコミュニティをマンションでもつくれればいいなと考えました。
エレベーターを一緒に使う各フロアの4世帯、もしくは3世帯のみなさんとは、自然と顔見知りになり、あいさつを交わす仲 になることでしょう。また1階のそれぞれのエレベータホールには、エレベーターを待つ方々が、ちょっとした 世間話が楽しめるように椅子 をご用意。それぞれのフロアでお友だちをつくっていただいたら、今度はそのお友達の輪を各階に広げていこうという考えです。
たとえば、エコヴィレッジシリーズでは、入居者のみなさんを対象とした各種セミナーや講習会などを開催しています。その中でも特に人気が高いのが「 緑のカーテン講習会 」。「ヨンコイチ 」のユニット単位をベースに、つまりエレベーターごとに4つのグループに分けて講習会を開催し、コミュニティのベースとなるユニット内での顔合わせの役割も担わせています。
エコミックスデザインのマンションは、自然と人がふれあえる住まいであるだけでなく、人と人がふれあえる住まいであればいいなと思っています。

語り手: 株式会社リブラン 事業企画部 樋口

自然との共存を大切に、設計事務所にてコーポラティブハウスを手掛けてきたが、 もっと多くの人にこの思いを伝えたいとリブランに入社。
「エコヴィレッジシリーズ」の企画・設計を担当。一級建築士。