相続税の税務調査対策(事前準備)

column2024-02-15

相続税の税務調査とは? 税務調査前にしておくべき準備の解説

相続税における税務調査は、相続税の申告をした人の約10%の割合で実施されています(コロナ禍期間中は除く)。忘れた頃にやってくる相続税の税務調査を上手に切り抜けるためのポイントを、今回から3回に渡りお伝えいたします。

税務調査は事前打ち合わせが大切

相続税の税務調査(任意調査)が予告なしに行われることは一般的ではなく、納税者(相続人)または税務代理人(税理士等)に、相続税の税務調査を行う日時や場所などについて、事前に通知が行きます。この通知は、調査予定日の2~3週間前頃に届くものなので、事前準備期間は十分あります。また万が一、実地調査の日程の都合が悪い場合でも、理由を述べて日延べしてもらうことも可能です。

相続税を申告してから、税務調査の事前通知があるまでの期間は、早くても1年、遅い場合は2年くらいかかります。税務調査官が、提出された相続税申告書をもとに、税務署内で準備調査を行ってから実地調査に臨むためです。

税務調査を受ける納税者にとって、ほとんどが初めての経験であり不安に感じる方が多いと思います。そんな不安や緊張を出来るだけなくす為にも、しっかりとした事前準備が不可欠です。

税務調査当日の様子

税務調査当日は、10時に開始し16時頃に終わることが多いです。場所は、基本的には被相続人宅になりますが、空き家状態や売却済の場合、相続人の代表者宅で行われることもあります。

当日、相続人全員が立ち会う必要はなく、被相続人の生前の状況がわかる方が1人以上立ち会っていれば大丈夫です。申告書作成を税理士に依頼されている場合、申告書の内容についての質問は税理士がすべて対応するため、その点も心配はありません。

税務署員は、基本的に2名で訪問します。これは、相続税の調査の場合、亡くなった方の生活状況や病気の内容、人間関係といったきわめてプライバシーに関わる質問におよぶこともあり、相続人とのトラブルを避けるためです。また、通帳や証券などの書類をコピーしたり、デジカメで撮ったりすることもあるため、1人では対応が困難なことが多いからです。

この税務署員は、訪問の前に庭周辺や所有車など、周囲を調査し、財産に繋がるものがないかチェックすることもよくあります。

税務調査当日の流れ

午前中はヒアリング、午後はヒアリングをもとに通帳や証券類などの現物確認が一般的です。

調査官はお昼に必ず1時間の休憩をとります。この間に相続人の方々や税理士などは、午前中のヒアリングに対する答弁内容を振り返りながら、午後の調査に向けての打ち合わせを行うことになります。

税務調査に精通している専門家のもと、あらかじめ調査当日の流れを知り、調査官からの質問内容や、確認される書類などを知っておくことで、税務調査への不安が少なくなります。出たとこ勝負ではなく、事前にしっかりと準備して調査当日を迎えるようにしましょう。

 

執筆者プロフィール

服部 誠(はっとり まこと)

税理士法人レガート
税理士・ファイナンシャルプランナー
税・財務の専門家として、個人の資産運用や相続・事業承継に関するコンサルティング、相続税の申告業務において多数の実績をもつ。
相続申告・贈与申告・譲渡申告などの関与件数は2,000件を超え、その経験を基にメディア等での執筆活動や講演活動も行っている。
著書:「相続税の税務調査を完璧に切り抜ける方法」(幻冬舎)、「贈与税の実務とその活用ポイント」(税務研究会出版局) 他多数。