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中古マンションとリノベを学ぶ

物件購入の秘訣を知って叶える防音室リノベ

お客様インタビュー (更新: )

楽ではないけれど、楽しい暮らし“てまひま暮らし”を実践している人を訪ねる企画「てまひま暮らし人」。第18回は、編集部がてまひま不動産の設計担当の設計スタッフとともに、東京都中野区にあるお宅を訪ねました。

会社員の傍ら、バリトン歌手として全国各地で活動する男澤友泰さん。購入したマンションの一室を防音仕様にリノベーションし、自宅で歌の練習ができる環境をつくりました。暮らしながら音楽を楽しむ部屋づくりのポイントとは?

気兼ねなく歌える部屋を求めて

編集部防音室は窓が少なく薄暗いイメージを持たれがちですが、ここは窓がたくさんあってとても明るいですね。使い心地はいかがですか?

男澤さん快適ですね。音が壁に吸収されすぎると喉に負担がかかる歌い方になってしまいがちですが、この部屋は適度に響きがあるのでとても歌いやすいです。外の音もほとんど聞こえないので、気持ち良く練習しています。

設計スタッフそれは良かった。実は、男澤さんは声楽家である私の妻の友人でもあって、我が家にもよく遊びにいらしているんですよね。

男澤さんそうなんです。設計スタッフさんの奥さまは声楽の大先輩で、物件を購入する前にも、設計スタッフさんに色々と相談に乗っていただきました。

「どうしても信頼できる人にお任せしたかった」と語る男澤さん。

設計を担当した設計スタッフが話を伺う。

編集部リノベーションをしようと思ったきっかけは?

男澤さんいつか自分の防音室が欲しいとずっと思っていました。以前は演奏可の賃貸でひとり暮らしをしていたのですが、防音設備がなかったのでフルボイスで歌うのはなんとなく控えていて。それに1Kの狭い部屋だったのでピアノも置けなかった。そんななかで、設計スタッフさんから防音室の話を聞くうちに、マンションを購入してリノベーションすれば理想の空間が手に入ると思ったんです。

編集部一般的なマンションに防音室をつくろうとした時、どのような条件のお部屋が良いのでしょうか?

設計スタッフ理想としては、両隣と階下に部屋がなく一軒家のように他の部屋から離れた位置にある部屋。もしくは、1階であれば階下に音が響く心配がないので、防音室をつくりやすい。交通量の多い道路に面した部屋はデメリットに思いがちですが、防音の観点からいえば、車の走る音など外から聞こえてくる音の効果で逆に室内で聞こえる音が目立たなくなる場合もあります。防音室をつくるのに良い条件を知った上で、暮らしとのバランスを考えて物件を選ぶのがポイントです。

男澤さん最初は通勤しやすく親が住む都内の実家にも近い立地であること、新築であることを条件にして探していたのですが、なかなか見つからなくて苦労しました。ピアノが置ける広さの部屋となると、予算内に収まらないか都内から離れた場所になってしまう。たまに条件に合う部屋が見つかっても、現金即決で買われてしまったり……。検索して、ようやく見つけたのがここだったんです。いざ内見してみたら、角部屋で両隣に部屋がなく、下が駐車場。街道に面しているので、環境騒音の面でも設計スタッフさんが教えてくれた防音室の条件にぴったりな部屋でした。

窓が三面あり、周囲の建物が光を遮らないので昼間も明るい。実家で眠っていたヤマハのグランドピアノ「Artistic Edition」をきれいに修復して新居に迎えた。

左)設計図をつくる前に、設計スタッフが描いたスケッチ。右)天井は吸音材を使用。譜面用と壁に飾った作品を照らすために、照明はレールライトをセレクトした。

生活に溶け込む防音室

床材にはカバの無垢材を使用。堅く丈夫なので、物を落としても簡単に傷つかない。防音室だが、素足でも気持ちの良い環境。

編集部物件を購入された後、てまひま不動産にいらしたんですね。

男澤さんそうです。リブランは24時間楽器演奏が可能な防音賃貸マンション「ミュージション」を手がけているため、防音のプロだという安心感がありました。防音室のリノベーション事例も豊富でしたから、信頼できると思ったんです。

設計スタッフリブランは防音性能を研究するチームがあるほど、防音にこだわっていますからね。予算内で最高の防音室をつくるために、施工部門の責任者と何度も打ち合わせをしました。物件の構造によって異なりますが、音は床の防音構造が一番のポイントになります。今回は下が駐車場なので床の構造が簡易で済み、その分コストカット出来ました。

編集部へぇ〜。ちなみに、響きはどのタイミングで調整するんですか?

設計スタッフ建設中はできないので、少し響き気味につくっておいて、完成後に家具やカーテンで調整していただいています。歌はもちろん、楽器によって音の出る場所や耳との距離、響き方や音の硬さが全然違うものなので、仕上げの調整具合はそれぞれですね。今後は楽器に合わせた防音施工のカスタマイズも目指していきたいと思っています。

編集部一人ひとりに合わせた空間がつくれるのも、リノベーションならではなんですね!

設計スタッフそうですね。また、いわゆる無機質な「防音室」にならないように、無垢床や調湿クロスを使って生活に溶け込むデザインを提案しました。

男澤さん無垢材の床は、肌触りが良くて素足でもすごく心地良い。一般の防音室で無垢材の床は見たことがないですから、とても珍しいと思います。カバ材は何か落とした時も傷つきにくくて、使い心地も最高。調湿クロスと合わせて湿気対策もでき、防音室というのを忘れるほど快適に過ごせていますよ。

設計スタッフ無垢材はキズや汚れがついても表面を紙やすりで削ってワックスを塗り直すことで綺麗にできるんです。合板の表面だけに薄いシートが貼られているフローリング材ではそうはいきません。蜜蝋ワックスを塗るなど、暮らしながら育てることで、年月とともに味が出てくるような材料ですね。

生まれた余裕が、音楽をさらに深める原動力に

防音室をつくったことで居室側にできた壁。「部屋に入った瞬間に気分がパッと明るくなるように」と、レモン色で質感のある壁紙を選んだ。

リビングと防音室を結ぶ防音仕様のドアはすっきりとしたデザイン。

編集部普段はどのくらい練習されているんですか?

男澤さん毎日練習していますね。でも、まわりのご迷惑にならないように夜9時以降は音出ししないようにしています。どうしても間に合わない時は10時頃まで練習することがありますが、クレームが来たことはないですね。私自身も、設計スタッフさんの奥さまに来ていただいている時に思いっきり歌ってもらって外で音を確認したこともありますが、ほとんど聞こえなくて驚きました。

設計スタッフあの時、90デシベルぐらい出していたかもしれないですね(笑)。

男澤さんですよね(笑)。これで気兼ねせず安心して歌えるな、と思いました。ピアニストさんと合わせて練習する時も、自宅だったら気軽にできる。以前は練習のためにスタジオを予約していましたが、毎回お金がかかるし、希望の時間の予約が取れなかったり、時間内で練習を終わらせるために焦ったりすることも多かった。今は家で練習ができるので気持ちに余裕が生まれました。

編集部焦らずに音楽とじっくり向き合う時間が増えたんですね。

遮音性能を高めるため、サッシは空気層を挟んだ二重構造。防音のための二重窓だが断熱効果も感じているそう。

男澤さんコロナ禍でテレワークも増えたのですが、気分転換に仕事の合間に少し歌を練習したり、ピアノを弾くことができたりして、普段の生活がとても楽しいです。

設計スタッフ最近はオペラ公演も増えているんですよね。

男澤さんそうなんです! コロナ禍に入ってからほとんどコンサートができませんでしたが、緊急事態宣言が明けてからはほぼ毎週末本番でした。オペラは劇ですから、言葉の意味を理解して、どんな表現をするか、歌い方や動きの見せ方を舞台稽古の前に考える必要がある。この部屋は静かなので、集中して譜読みに取り組めるのも嬉しいですね。

編集部今後の活動への意気込みはありますか?

男澤さん私は大きなホールで歌うよりも小規模な会場で歌う方が好きなんです。小さなコンサートでは、一人ひとりの反応が間近に見える。それがとっても楽しくて。今後もお客さまと近い距離で歌っていきたいですね。

お客さまの反応を見ながら歌うのが好きだと話す男澤さん。クラシックが専門だが、お客さまからのリクエストに合わせてポップスから昭和歌謡まで幅広いレパートリーを歌う。

生活に溶け込む自然素材と防音性能、ふたつのノウハウを持つリブランだからこそ叶えられる生活があります。音楽も暮らしも諦めず、心地よく暮らしながらじっくり音楽と向き合う、豊かな生活の姿が見えました。

 

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【クレジット】
企画:株式会社リブラン
編集:原⼭幸恵(tarakusa)
⽂:立脇あゆみ
写真:丹野雄二(提供写真以外)