「NPO法人緑のカーテン応援団」のはじまりと、環境貢献。

about2017.01.10

エコミックスデザインの思想は、鈴木雄二(リブラン代表取締役)の原体験に根差す。千葉県館山市にあった田舎の家は、大きな枝を伸ばした欅が木陰をつくり、爽やかな風が部屋から部屋へと通り抜ける。大きく突き出た庇が夏の陽射しを遮り、縁側で兄とカブト虫を闘わせた時に感じる、汗をかきながらも涼しい、あの緩やかな身体感覚。高級で煌びやかなものではなく、素朴で安心感に包まれるような感覚。なぜ、マンションは、誰もが一度は感じたことのある、あの健やかな気分を再現してくれないのだろうか。

 

鈴木は環境共生住宅推進協議会で学び、リブランは総戸数158戸の環境共生型マンションを分譲した。そして「豊かな森に囲まれた空間に建築されるマンションでも、部屋と外を繋ぐ中間領域や間取り、建築素材などをきちんと設計しなければ、その気分は味わえない。デベロッパーがマンションをつくるプロセスや常識を大きく改めなければ、家で健やかな気分を得ることはできない。」という結論に至った。

“森をまとう”と謳ったエコミックスデザインマンション第1号「ザ・ステイツ平和台」の入居者のご夫婦から、「せっかく最新型のエアコンを買ったのに、コンセントをぬいたまま一度も使わなかった」という嬉しいお言葉をいただいた。その理由は、弊社の思想から生まれたエコミックスデザインの提案にある「緑のカーテンのある暮らし方」を実践されたことにほかならなかった。

 

そのご夫婦のご職業は小学校の先生だった。お二人は「緑のカーテンのある暮らし」を「総合的な学習の時間」に環境教育として取り入れることはできないだろうかと考え、リブランに教育現場での運営・協力を求めた。鈴木は、まず校舎を調査した。そこで子どもたちが勉強する教室内外の、温熱環境の厳しさを目の当たりにした。当時、その校舎には扇風機もエアコンも設置されていなかった。「緑のカーテン」を学校に導入したいという考えは、非常に合理的な解決策だった。鈴木は、社員をボランティアスタッフとして教育現場に派遣した。小学校では目にする事もないサーモカメラで、教室内外の温熱環境の様子を撮影し、「緑のカーテン」の効果による温度の違いを視覚的にも見えるようにした。また、人が涼しいと感じる理由を小学生の子どもたちにもわかるように、様々な実験によって見せた。これらのノウハウは、日頃、リブランが供給するエコミックスデザインマンションのモデルルームで、営業マンがお客さまにお見せしているものだ。 

板橋区内の小学校での授業風景
板橋区内の小学校での授業風景

通常の学校教育には無い手法で授業を行い、教育効果の向上を図ったこの学習プログラムは、先生の献身的な努力で環境大臣賞という栄誉に輝き、さらに、その学習で学んだことを作文に書いた生徒は、内閣総理大臣賞を受賞した。なにより、子どもたちは自分たちで「緑のカーテン」を作ったという最高の体験を手に入れた。その後、この取り組みは、テレビやラジオ、新聞など、あらゆるマスコミが報道し、全国に広がっていった。

 

この物語は、学校の先生と子どもたち、そしてリブラン社員たちだけの力では成し遂げられなかったであろう。温熱環境の学習に合わせ、土のつくり方や雨の水の利用など、地域から専門分野を持って集まった人たちが、それぞれの立場で「先生」となって、子どもたちの学習をサポートし、学校と地域が一体となって取り組んだことが相乗効果となって実を結んだのである。地域から集まったボランティアチームは、「緑のカーテン応援団」と呼ばれるようになり、2007年、NPO法人として東京都から認可を受け、以来、鈴木は理事長を務め、現在も活動を続けている。

仮設住宅社長
仮設住宅でプランターを運ぶ社長の鈴木

会社案内コラムより (総務部 太田投稿)